概要
このトピックでは全てのユーザーが納得できるランキング制度とランキングと結びつきの強い機能であるジャンルのあり方について検討します。
特にランキング制度についてはNoveLandでも方針が固まり切っておらず、皆様の意見を募集しています。
ランキングの問題点
1つのランキングがユーザー全員で共有される場合、必然的に多数派ユーザーの評価が支配的になってしまいます。そのため、少数派のユーザーが好む作品の評価は軽視される傾向があり、結果として多様なジャンルが失われ、多数派や運営が推奨する特定のジャンルだけが盛り上がる状況になります。
ランキングの理想的な姿
ランキング機能の位置付けとしては、読者にとっては質の高い作品を効率的に探すための機能、作者にとっては執筆の目標や書籍化の通過点のための機能と捉えています。
これらを満たしつつ理想的なプラットフォームのあり方は、YouTubeやnoteのように個々のユーザーの嗜好や興味に合わせてパーソナライズされたものであるべきです。
しかし、これらのサービスにはランキングが存在しない一方で、これまで培われてきたランキング文化も尊重しつつ、従来型のランキングを好むユーザーと、従来型が合わないユーザーのどちらも満足できるような、新たな仕組みを設けることが望まれます。
ジャンル分類の課題
一つの作品を一つのジャンルだけに分類するという方式は、作品が明確に特定のジャンルに分類できる場合(百科事典の五十音順索引など)においては非常にシンプルで整理しやすい方法です。
しかし、小説において実際にはファンタジー要素もありつつ恋愛要素があるなど複数のジャンルにまたがる作品も多く存在するため、この単純な方法では対応が難しくなります。
異世界ファンタジー、恋愛といったジャンルは本来特定の性別のユーザーに限った分類ではないはずですが、事実上男性向け、女性向けというカテゴライズを暗黙的に含んだ運用がなされている投稿サイトもあり、慣れていないユーザーにとっては作品を探す妨げになってしまう恐れがあります。
理想的なジャンル分類のあり方
結論ありきで理想を語ると、複数ジャンルを作品に設定できるようにするべきだと考えています。
大量のコンテンツを抱えながら情報が整理されているWikipediaや専門家によって設計がなされているであろう国立国会図書館の検索システムを例に取ります。
Wikipediaではカテゴリ、サブカテゴリという概念を持ちつつも各記事は複数のカテゴリに属することができ、カテゴリ同士も「上位カテゴリ/下位カテゴリ」の関係を持ちます。しかし、完全なPCのディレクトリのような構造ではなく、あるカテゴリが複数の親カテゴリを持ったり、ループ(循環)が起きたりする場合もあるため、「厳密な階層」ではなく“ゆるやかな階層”+ネットワークと考えたほうが近いです。
国立国会図書館とは国内で発行されたすべての書籍が集まる図書館です。
また、図書館の利用者が必要な情報や作品にいかに効率よくアクセスできるかを追究する学問分野があり、その専門家が書籍の検索システムに携わっていることが予想されます。
その国立国会図書館の検索システムが書籍にジャンルを割り当てる方針として、複数ジャンルに該当する場合は複数ジャンルを付与すると明記しています。
選定理由などは公開されていませんが、現代において書籍を分類するためには複数ジャンル制の方が有力であると解釈できそうです。
ここまで作品全体に関する話でしたが、さらに1作品に着目して考えると長編小説が持つ特徴として、物語が完結するまでの間に状況が変化することが挙げられます。
ジャンル分類機能ではこの話が進むにつれて変化しうる情報についても表現できるようにするべきでしょう。
NoveLandの方針
ジャンルについての対応はシンプルで、ジャンルは1つ選択するのではなくタグで複数選択できるようにし、章単位でもタグを設定できるようにし物語の流れによる変化を表現できるようにします。
そして、運営が推奨するタグやサブタグなど利用状況に応じて最適化します。
そして問題はランキングの方です。
具体的な対応については現時点では未定であり、提示する案やその他の案について皆様の意見を募集しています。現時点で固まっている方針は以下です。
- 総合ランキングは作らない
案一覧
1. ランキングを読者がカスタマイズできるようにする
読者が追いかけたいランキングを自由に設定できるようにします。カスタマイズは他人に公開したり共通している設定は公式にサポートしたりしてもいいかもしれません。
- pros
- 手軽にパーソナライズされたランキングを実現できる
- cons
- 施策が読者側に寄っているため、作者にとってそのランキングにどれだけの価値があるのか不明
2. タグと同様にランキングも定期的に構成を変える
- pros
- ユーザーの利用状況に合わせたランキング編成を提供できる
- cons
- 変化が激しくユーザーがついていくのが難しい
- 短期間で再編成を行なっているだけであまり従来のランキングと変わらない
3. ランキングそのものをなくす
- pros
- ちゃんと推薦システムなどを作ってパーソナライズできれば小説版YouTubeのような体験ができる
- cons
- ランキングへのランクインを楽しみたいユーザーが活躍できない
4. タグに企業がスポンサー出資し、ランキング化する
- pros
- Webに特化したランキングではなく、市場に合わせたランキングを構築できる
- 作者や読者にとっても自分の嗜好とマッチした企業を経由したジャンル選択ができる
- cons
- NoveLandだけで実行できる施策じゃないので実現まで時間がかかる